第20章 アンケート回 松怪奇譚〜落〜
「じゃあお望み通りお前から」
「あ、ちょっと待って」
女将が十四松を指名するが、一松が横から口を挟んだ。
「さっきからなんなんだこの露出野郎!」
補足すると未だに彼はフルチンだ。
「いいの?他のやつを檻から出さなくて」
「なに寝ぼけたこと言ってんだ!ここから出したら逃げるだろう!」
「いやさ、血の匂いが混ざったら素材の味が分からなくなるでしょ?」
「っ!!」
女将は面食らって言葉に詰まる。一方檻の中にいる青鬼達は、大きな黒目で六つ子とゆめ美を凝視し、女将のGOサインを待っている。女将は愛する我が子達を一瞥し、ゆっくりと口を開いた。
「確かにそうだ。お前の言う通りさ。危うく最高級牛フィレ肉を前に、カップ麺を食うテンションで挑むとこだったよ…」
「鬼のくせに例えが人間臭いんだけど!?」
これから食われるというのに、チョロ松はツッコミという業務をキチンとこなした。