第20章 アンケート回 松怪奇譚〜落〜
「お前、どうやってあたしの蜘蛛の糸を…!?」
「え?あ、あぁ、糸緩んでたんだよ!脱いだんだから余計なこと言うなよババア!!分かったなオラァァア!!」
よほど兄弟にゆめ美との秘め事をバレたくないのか、物凄い剣幕で女将をがなりたてる一松。流石の女将も勢いにのまれている。
「フン、ま、まぁいい……全員さっさと檻の中に入んな」
七人を睨み据え、女将は檻の鍵を開けた。途端、激しく吠え出す青鬼達。
皆が震え上がる中、カラ松が立ち上がった。
「待つんだ女将さん!ゆめ美だけでも逃がしてやってくれないか?」
「カラ松くんっ!何言ってるの!」
カラ松は、勝負パンツであろう青いキラッキラしたビキニパンツ姿で、女将から庇うようにゆめ美の前へ立つ。
当然、ゆめ美は眩しすぎるパンツから顔を逸らす。
「何をふざけたことぬかしてんだい?あたしらは一人百万でお前達を買ったんだよ!」
「ぐふっ!」
「カラ松くん!」
避けることも出来たのだが、ゆめ美にぶつからぬようカラ松は敢えて女将の蹴りを喰らい、檻の中へ入れられてしまった。
「おい乱暴すんなよババア!つか百万!?やっぱあいつらそーゆーことかよっ!」
「生還したら然るべき処罰を与えないとね」
おそ松とチョロ松が怒りに燃えている横で、十四松がトド松を慰めている。
「うわーーんっ!こわいーーっ!」
「ヤバいね!ぼくでも分かる!絶対絶命!」
「ヤダヤダヤダ!ボクこいつらに食われて人生終わるなんて絶対やだぁぁあ!!」
「トッティダイジョーブ!頭から食われたら痛くないよ!」
「さっきからひとっつも慰めになってないよ十四松兄さん!」
わんわん滝のような涙を流すトド松の腕を女将が掴んだ。
「ほら!次はお前だよ」
「いたたた!!ちょ、爪食い込んでる!爪くらい切ってくださいよ!」
「やかましい!さっさと檻に入れって言ってんだよ!」
「わぁぁあ!!」
六つ子とゆめ美達は、青鬼達が待つ鉄格子の中へ次々に放り込まれていく。
最後に残ったのは一松だった。
「さぁ、お前も来るんだ」
「あのさ…ちょっといい?」
「あぁ?」
一松は局部を露出したまま、ノソノソと女将に詰め寄った。