第19章 ※アンケート回 松怪奇譚〜解〜
一松とゆめ美は、互いに起きた出来事を話した。
一松は青鬼の猛攻に遭い、階段を塞がれおそ松とはなればなれになり、一人で二階を探索していたことを、ゆめ美は地下室に何体もの青鬼を確認した後、女将が青鬼へと姿を変えて襲いかかってきたことを報告しあった。
どんな生態なのか、妖怪なのか宇宙人なのか、青鬼について謎は解けないままだが、一松はある仮説を立ててみる。
「…たぶんだけど、館長が自殺ってのは嘘。あいつらが館長を食ってこの旅館を乗っ取ったんだと思う。で、興味本位で心霊スポット巡りするヤツらを餌にして食いつないできた」
怖がらせてないか心配になり止めると、ゆめ美は「続けて」と促した。
「イヤミ達がどうやってここを見つけたのかは分かんないけど、どうせ金かなんかに釣られて食いついたんでしょ。で、おれらは餌として放り込まれ、美味い食事と温泉で味付けされて…」
ここで両手を垂らし、うらめしや〜のポーズをしながら舌を出す。
「逝ただきまーすって」
「……」
笑わせようと彼なりにおどけたのだが逆効果だった。ゆめ美は恐怖で顔を引きつらせ、歯をカタカタと鳴らす始末。
(女子を勇気付けるとか出来ねぇぇええ!!)
なぜ逃げ延びたのがおれなんだ、おれなんかホラー映画で真っ先に死ぬか黒幕役が相応しいのに、運命線でもずれたのか、と捻くれた思考を展開する。
あーだこーだネガティブ思考が膨らんで爆発しかけた刹那、ふと、ゆめ美がサングラスを握りしめているのが目に入った。
(…あいつならこーゆー時…)
「それ、貸して」
「…?う、うん」
サングラスを受け取り、即装着。カラ松っぽく口の端を上げながら、一松はゆめ美へ視線を投げかけた。というか、真っ暗な上にサングラスで何も見えないが、あがり症な一松には返って好都合。
ツラツラとゆめ美の為にカラ松を演じ始める。