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おそ松さん〜恋セヨ松野さん〜

第18章 アンケート回 松怪奇譚〜追〜



「気味が悪いんでその人形しまってくれます?あと、あの破壊された玄関と階段はなんなんですか?あれじゃあ僕ら外にも出られないし部屋だって戻れないじゃないですか。つかぶっちゃけもう家に帰りたいんですけど!」

「あらまぁ、玄関と階段が?うちの青鬼がまた悪戯したんですかねぇ?」

「青鬼って、もしかして地下室の…!!」


言いかけて慌てて手で口を覆った。
しかしもう遅かった。


「…ホラホラ…お客様、あの部屋をご覧になったんですね?」

「い、いやっ、あああの…っ」


チョロ松の返事を待つことなく、女将はめりめりと骨の軋む音を響かせその正体を露わにした。


「キャアァァァアッ!!」

「あ、青鬼!?」


女将は妖怪の絡新婦(じょろうぐも)のように、顔だけ人間で身体は蜘蛛の巨大な怪物へと姿を変えた。頭には角が生え、身体は地下室で見た怪物たちと同じ青色をしている。

二人は一目散に逃げ出した。


「待ちなっ!!悪い噂のせいで人が来なくて子供達がお腹を空かせてるんだよぉぉおおお!!!!」


髪を振り乱し、八本の脚を物凄い速さで蠢かせ二人の背中に迫り来る。


「噂通りじゃねーか!!」


手を繋ぎ二人は廊下を全力疾走する——が、肝心な場面でゆめ美はスリッパが脱げて身体がよろめいてしまった。


「キャアッ!」

「っ!!」


手が離れた反動で勢いよくチョロ松も転倒してしまう。壁に打ち付けた背中から鈍い痛みが走るが、歯をくいしばり起き上がる。


「ゆめ美ちゃん!!」


駆け寄るチョロ松。だが、女将の方が速かった。


「ホラホラホラ!一番のご馳走が手に入ったねぇ!」


ゆめ美の浴衣に蜘蛛の脚が引っ掛かり、背中の生地が引き裂かれる。


「いやぁぁあ!!」

「やめろクソ鬼!!汚ねぇ手でその子に触れるな!!」


怒気を含んだ声で叫ぶチョロ松。恐怖でその場に座り込むゆめ美。

チョロ松がもたつく足で走り寄る中、女将はゆめ美の頭めがけ鎌のような爪を振り下ろした。



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