第18章 アンケート回 松怪奇譚〜追〜
チョロ松とゆめ美は屈んで足跡を凝視した。
スマホのライトで足元を照らして覗き込めば、五十センチほどある巨大な足跡には五本の指があった。
二人の双眸は見開き、驚愕と恐怖の色で塗りつぶされる。
「これ、人の足と似てるけど、人間の足の大きさじゃないよね?」
「青い鬼だっけ?もしかしたら、この足跡の正体が青い鬼と呼ばれる怪異で、そいつが玄関や階段を粉々にしたのかも」
「……」
ゆめ美は口ごもると、カラ松のサングラスを握りしめた。思い詰めた表情でサングラスを見つめる。
その様子を横目で見ていたチョロ松は、試すようなことを聞いてしまった。
「あのさ、そんなに心配?…カラ松兄さんが」
「えっ?」
確証はない。だが、なんとなく感じていた。
ゆめ美とカラ松は両思いなんじゃないか?と。
夕食前に二人が抜け出したのもチョロ松は気づいていた。
それがずっと心に引っかかっていたのだ。
ゆめ美は視線をサングラスからチョロ松へと移すと、動揺も見せずに答えた。
「…心配だよ。カラ松くんだけじゃない、みんなが無事かすごく不安。トッティだって怖いのに一人で頑張って待ってくれてるし。だから、早く出口を見つけてあげたい。早くみんなに会いたい」
ゆっくりと立ち上がるゆめ美。
その瞳は微かに潤んでいたものの、凛として強い意志を秘めていた。
チョロ松は、己の小ささに恥ずかしくなり顔が熱くなる。
(僕は…バカだ…。ゆめ美ちゃんは怖くても頑張ろうとしてるのに。こんな時になに嫉妬してんだ!)
「そ、そうだよね!早く見つけよう!」
硬く拳を握りしめ、チョロ松も立ち上がった。