第18章 アンケート回 松怪奇譚〜追〜
「くそっ!なんの為の非常口だよ!非常事態発生中だってのに!!」
チョロ松が施錠されたドアと格闘して十分が過ぎようとしていた。
「チョロ松くん、もう諦めて別の場所を探そうよ…」
「もうちょっと、もうちょっとなんだよ!この、たまたまなんかのスイッチを押して、壁の窪みから出てきたイベントアイテムっぽい針金を、鍵の形に折り曲げれば開いたんだ!ゲームでは!」
「でもゲームじゃないから…」
「平気さ!松野家のブレーンである僕の手にかかれば、些細なヒントも見逃さず、最速で攻略可能だから!」
「だから、ゲームじゃないって…」
ゆめ美が説得を諦め、しゃがんで頬杖をついた時に勝負はついた。
「あ」
何度も無理な力を加えた針金は、劣化してぷつりと切れてしまった。
針金の最期を見届けて、ゆめ美は立ち上がる。
「ね?別のとこ探そう?」
「ごめん…役立たずで…」
「ううん、そんなことない。……ありがとう」
ゆめ美の柔和な笑顔は、チョロ松の落ち込んだ心を瞬時に奮い立たせるのだった。
・・・