第18章 アンケート回 松怪奇譚〜追〜
肩に乗せられたゆめ美の手を掴み、ニコリと笑ってみせる。
「ね?僕、いつも通りでしょ?」
と、言い終わったところで、
「どぅわっち!?」
堂々とゆめ美の手に触れながら顔が至近距離だったのに気づき、慌てて壁際まで後退った。
「ご、ごめ、ごめんっ!ワザとじゃないんだよ!」
顔を真っ赤にしながらあたふた謝るチョロ松を見て、ゆめ美も気恥ずかしくなり顔を背ける。
「えっと、こっちこそごめん。私が馴れ馴れしく肩に触ったから…」
「全然馴れ馴れしくない!寧ろもっと触っても平気だよ!なんなら全身撫で回してくれてもいい!」
「いや…それはやめておくよ」
取り乱し、人としてギリギリな発言をする三男に、ゆめ美は苦笑しながらやんわりと断った。
「へ?あ、そ、そう?あはは…あははははは…」
頭に手をやり、必要以上に笑って誤魔化すチョロ松。
「あっ」
ふと、ゆめ美はチョロ松の頭の先に、電気の切れた誘導灯を見つけた。誘導灯とは、グリーンのライトで"非常口"と表示されている、どこにでもあるアレのことである。
「チョロ松くん、非常口!」
「え?ほんとだ!あははっ!」
顔を見合わせ笑顔でドアへ向かう——が、笑顔は一瞬で曇ることとなる。