第18章 アンケート回 松怪奇譚〜追〜
ゆめ美とチョロ松の眼前には、容赦無く立ち塞がる瓦礫の山があった。
「これが音の正体か…」
絶望的なまでに、二階へ続く階段は破壊されている。
「どうしよう。これじゃあ部屋に戻れないね」
「いや、ここが部屋から近い階段ってだけで、探せば他にもあるはずだよ。非常口は大抵外に階段があって、上の階と繋がってるし」
「そう…だよね」
(ゆめ美ちゃん不安そうだ。無理もないよ。なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだ)
チョロ松は恐怖よりも怒りが心を支配していた。
(イヤチビめ…。僕らになんの恨みがあるんだよ。まぁ、恨まれるようなことしてないって言ったら嘘になるけど。でもこれはやり過ぎだろ!)
一番腹がたつのは、ある種因縁とも言える六つ子VSイヤチビコンビとの戦いに、ゆめ美を巻き込んでしまっていることだ。
(見てろよ…。無事に脱出したら、あいつらのケツ毛を地獄の業火で焼き尽くしてやる!)
瞳に炎を宿し、アレをああしてこうしてやると危険な妄想に耽っていると、隣のゆめ美が顔を覗き込んだ。
「チョロ松くん大丈夫?目が血走ってるけど」
「平気だよ。自分でも驚くくらい冷静だから…ふふふ…ふ」
「全然冷静に見えないよ!?」
焦点の定まらない目は正気の沙汰じゃない。
ゆめ美はチョロ松の肩を掴み頭を揺らした。
「しっかりして!私も頑張るから!」
「おえっぷ!だ、大丈夫だよ!考え事してただけだから!」