第3章 さぁこの出会い、本物の愛にまで育つかな?
皿の上に残された、半量減ったナポリタンと、甘い芳香を漂わせている(彼らにはそう感じる)乙女のフォーク。
乙女の間接キッスをゲット出来るのは一人のみ。
腕を組み、神妙な面持ちでおそ松は弟達に視線を投げかけた。
「十四松はもういらねーよな?お前食ったし」
「うん!クソ美味かったー!」
オムライスをペロリと平らげ、十四松はお腹をさすってすこぶるご機嫌な様子。
「チョロ松も同じメニューだから味見の必要ねーだろ?」
「え?いや、僕のにはブロッコリー入ってなかったから味見したいかも」
ぐい、とおそ松が持った皿を自分の方へ引っ張るチョロ松。
二人に引っ張られ、ナポリタンがぷるぷる震えている。
「まぁ待てブラザー。ここは平和にじゃんけんでどうだ?」
「却下」
「なぜだトッティ?」
「この間大福争奪戦でじゃんけんしたら、30分あいこ続きで腱鞘炎になりかけたから」
「なるほど」と顎に手をあて眉根を寄せる。
「だが、本物の愛と言うのは奪うぅアウチッ!!??」
唐突に一松がカラ松の足を踏んづけ、ずいっとチョロ松の隣へ並ぶ。
「どけクソ松。テメーは始まる前から逃げた。参加する権利なんてねーんだよ…」
吐き捨てるようにそう言うと、ソファーの端っこへと追いやるように蹴りを入れた。
涙目で蹴られた脇腹をさする哀れなカラ松。
「一松よ!痛いぞ一松よ!」
「黙ってろクソ」
「カラ松兄さん。兄弟と言えどもこの世は弱肉強食。みんなもボクが末っ子だからって油断しないでよね」
皿を持つ手が更に増え、四人が皿を奪い合うなんとも滑稽な状況になった。