第3章 さぁこの出会い、本物の愛にまで育つかな?
十四松のあーんは、彼らの闘争心、そして女子と触れ合いたい欲を掻き立てるには、十分すぎるほどの事件だった。
(このヤロー…また一人で株上げやがって!)
(フッ…なかなかどうして侮れんブラザーだ)
(コイツには距離感探るとか無いの!?何いきなり間接キスしてくれちゃってんの!?)
(羨ましすぎる…呪い殺すか…)
(やっぱり十四松兄さんは一番の強敵…!)
十四松に続いたのはゆめ美の隣に座るおそ松だ。
何食わぬ顔で食べ始めたゆめ美に向かい、あんぐりと口を開けて甘えだす。
「なーなー、俺も食べたぁーーい。あーーんっ」
「もぐもぐ…えっと、ちょっと待ってね…」
ゆめ美が皿に目を落としたタイミングで、チョロ松が好機を逃すまいと瞬時に自身のフォークにパスタを巻きつける。
「そんなに食いたいなら僕のやるよほら」
「むぐっ!あ、おいちーい…じゃねーー!!なんでシコ松と間接キスしなきゃなんねーんだよ!!」
おそ松とチョロ松が小競り合いを始めた間から、カラ松が目を煌めかせゆめ美に話しかける。
「ゆめ美ちゃん…そのフォークに気まぐれな愛を巻きつけ、オレの渇いた心を満たす一口を」
「黙って。イタくて何言ってるか電波状態だから。えへっ、ボクもーあーんして欲しいなー」
「みんなそんなに食べたいなら、味見用にナポリタン作ってくるね」
嬉しそうに席を立つゆめ美。
「え?違うよ!ぜんっぜん違う!!そーじゃないでしょー!?」
必死の形相で通せんぼするおそ松に弟達もつられて立ち上がる。
「どうしたのみんな!?じゃあ…食べ残しだけど、それみんなにあげる。私は別の食べるよ」
(えぇ…)
ステキスマイルを残し、ゆめ美はキッチンへと向かってしまった。