第18章 アンケート回 松怪奇譚〜追〜
「なるほど…。じゃあつまり、僕らはずっと昔に館長が自殺して潰れたはずの吐奇話旅館にいて、なぜか小綺麗にされた客室に案内され、美味しい食事に露天風呂を堪能した。だけど蓋を開ければ、ここは行方不明者続出のシャレにならない心霊スポットで、こうして今理不尽に閉じ込められ、姿の見えない何か——その、青い鬼と呼ばれる怪異から身を隠している…と」
「怪異?う、うん、実際鬼じゃなくて人間かもしれないけど…」
チョロ松は顎に手を当て考え込むと、顔に洞察の閃きが走った。
「ずっとここにいても安全とは言えないし、ひとまず非常口を探すのが得策ってのが僕の意見だけど…どうする?」
「さっすがサエテルシコースキー兄さんっ!」
チョロ松の案に、トド松は祈りを止め目の焦点を取り戻した瞳で兄を見つめた。
「じゃあさ、二手に分かれよう?サエテルが出口探す係で、ボクとユメがここでおそ松兄さん達と合流する係!」
「……私も行く」
「ユメ!?」
ゆめ美は立ち上がり、不安にさせぬようトド松へ微笑みかけてからチョロ松へ向き直った。
「ゆめ美ちゃん、いっ、いいの?」
「チョロ松くん一人を危険な目に遭わせられないもん。トッティはここでおそ松くん達を待っててあげて?」
「ちょっと待って!じゃあやっぱ三人でここにいよう?おそ松兄さんに言われたでしょ?朝まで大人しくしてろって。ボク、おそ松兄さんのこと信じてるから…だからみんなも信じてあげて」
どうしても一人になりたくないトド松は、瞳をうるるんとさせながらきゅるるんと微笑む。