第17章 アンケート回 松怪奇譚〜鬼〜
「お前らさぁ…」
はぁーあと深く嘆息し、おそ松はぽりぽり頭を掻いた。
(ったく、ゆめ美ちゃんを怖がらせるようなことばっか言いやがって)
せっかくのエロ展開大放出予定旅行がこれでは台無しである。
(長男様が動くしかない、か……仕方ねぇなぁ)
静寂の中、おそ松はサングラスを握りしめ立ち上がった。
「マイナス方向に考えてばっかじゃラチがあかないって。ひとまず、手分けして二人を探すぞ」
そう言い放ち、床に座り込んで動けなくなっている女子二人を見やれば、無意識にまた小さなため息がこぼれ落ちた。
「あぁ…やめた。やっぱ予定変更。トド松はゆめ美ちゃんを守って瓦礫の陰に隠れてろ」
「わ、わかった」
頷く末っ子の目には涙が溜まっている。
「泣くなよ!ゆめ美ちゃんより怖がっててどーすんだチビリ松!俺のチョロ松貸してやるから」
「人をお前の所有物みたいに言うな」
よほど心外だったのか、間髪入れずにチョロ松。
おそ松はチョロ松に構うことなく一松の肩を叩いた。
「なぁ、一松はこーゆーのワリと平気だろ?」
「…うん」
「じゃあ俺らだけで行くぞ」
「え!?ちょっと待って!」
背中を向けた二人に、チョロ松は声をかけずにはいられなかった。
「おそ松兄さん!二人だけで行くなんて危険すぎる!」
「トド松ー、スマホ貸して」
「え?圏外だけど」
「いいから」
「おい!僕の話を聞けよ!」