• テキストサイズ

おそ松さん〜恋セヨ松野さん〜

第17章 アンケート回 松怪奇譚〜鬼〜



おそ松はチョロ松の声に耳を貸さず、スマホを受け取り時計を見た。

時刻は夜の十時過ぎ。

時間を確認すると、尻餅をついているゆめ美と目線を合わせるように屈んだ。


「ゆめ美ちゃん、十一時になったら一度戻ってくるからな」


不安げに瞳を揺らしながら頷くゆめ美の頭をそっと撫でる。


「でもさ…もし、約束の時間になっても俺らが帰って来なかったら、三人で朝までどっかに隠れてて。朝になればイヤミ達が迎えにくるはずだから。それまで女将さん含め、誰にも見つかっちゃダメ。いいな?」

「そん…な…!でもっ、二人は…!」

「へーきへーき!その代わり、無事にカラ松と十四松連れて帰ってきたらさ、チューしてくれよな?」

「おそ松くん…」


ゆっくり、おそ松がゆめ美に顔を近づけると…


「あ……」

「へへっイタイねー」


サングラスをゆめ美のおでこにかけ、悪戯っぽく鼻の下を擦って笑った。
立ち上がり、ジト目で待つ猫背の元へ笑顔で駆け寄る。


「よし行こーぜ!帰還してディープキスしーよおっと」

「……」


一松は無言でゆめ美を一瞥すると、踵を返し歩き始めた。おそ松も横に並んで歩き出す。


「おそ松くん、一松くん、気をつけて…!」


おそ松は振り返らずに手をヒラヒラさせた。

そして、あっという間に二つの影は暗い暗い廊下に消えて行った——。








18章へつづく
/ 442ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp