第17章 アンケート回 松怪奇譚〜鬼〜
「みんな伏せろ!」
おそ松は叫ぶと同時にゆめ美を庇うようにしてしゃがんだ。
床が揺れ、パラパラと天井から小さな破片が落ちてくる。
「もうやだー!ボク帰るー!」
「イヤミのヤロー!一体なんなんだよこの旅館は!!」
音は一瞬で止み、チョロ松は急いで廊下を覗き込んだ。
「すぐ収まったけど、どこから聞こえてきたんだろう?」
「…たぶんあっち」
一松もチョロ松の下から廊下に顔を出し、玄関の方角を指差した。
ゆめ美は青ざめた顔で駆け出そうとするが、おそ松の腕がそれを引き止める。
「待って。一人で行くとか無茶だから」
「早く行かないと!もしカラ松くんと十四松くんに何かあったら…!」
「わかったわかった。俺も行くから。な?」
おそ松が優しい声音で宥めれば、ゆめ美は不安を押し隠し頷いた。
「ん。よし、行こう」
おそ松は、気丈に振る舞う健気な肩を抱き歩き出す。と、弟達もそれに続いた。