第17章 アンケート回 松怪奇譚〜鬼〜
股間の膨らみに気づかれぬよう、おそ松はゆめ美へ背中を向けたまま、頭だけ振り返る。
「な、長風呂って言ってたけど、思ったより早かったね!」
と、視界に入ったその姿に、瞬時に心を奪われた。
ゆめ美の浴衣姿はとんでもなく色っぽかった。アカツカ亭のウェイトレス姿もだが、身体のラインが出る格好は、ゆめ美の魅力をグンと引き出すようだ。キュッとしまったウエスト、そこから弧を描くように広がったヒップは実に悩ましい。そしてオマケは髪を一つに束ねうなじをご開帳…。
四人は咄嗟に卓球のラケットでロケットを隠した。お望みならば、いつでも全員発射オーライである。
ワザとらしいくらい無表情でチョロ松が話しかける。
「結構お湯の温度高かったからのぼせちゃったとか?」
「うん。私熱いの苦手だからすぐクラクラしちゃった」
パタパタと手で顔をあおぎながら、ゆめ美は部屋を見回した。
「あれ?カラ松くんと十四松くんは?」
「え?大浴場の入り口で待ってたはずだけど」
「いなかったから、先にここに来てるかもって思って…」
「ったく、あいつら好き勝手やっちゃって」
チョロ松がブツクサ言っている脇から、トド松がゆめ美にラケットを手渡した。
「ほっときなよ。はい、ユメも卓球しよ?」
「ありがとう」
「じゃあ交代でダブルスを——うわぁっ!?」
トド松が言いかけたところで、唐突にドォォォオンという轟音がした。まるで壁が破壊されたような、凄まじい地響きと共に。