第17章 アンケート回 松怪奇譚〜鬼〜
カラ松とゆめ美が客室に戻り、ほどなくして夕食の時刻になった。
大広間へ移動すると、部屋の端にあるお座敷に七人分の食事が用意されていた。百人は入れるであろう広々とした空間に、ポツンと七席だけというのは、何とも言えない寂しさがある。
「あっれー?誰もいないのー?」
首をぶんぶん振り回し、十四松が広間を見回す。
「ホラホラ……貸し切りでございます」
「ボゥエッ!?」
突如柱の影から現れた女将に驚き、十四松の目玉が飛び出した。女将は一瞬目を丸くしたものの、すぐに笑顔を作る。
「あらまぁ…素晴らしいお顔をなさる。お客様、もしや我々側の人間ですか?」
「よく分かりませんっ!」
気をつけをし、礼儀正しく答える十四松。そんなやり取りを見てしまっては、チョロ松は心でツッコミを入れざるを得ない。
(なんだよ我々側って!あの世側とでも言いたいのかよ!演出かなんか知らないけど、夕飯くらいホラーから離れて楽しみたいんだけど!)
声に出すのをぐっと堪えていると、チョロ松の険しい顔つきに気がついた女将が、十四松を席へと促した。
「話し込んでしまい申し訳ございません。さぁさぁ、冷めてしまいますから、皆様どうぞ召し上がってください」
「あいっ!おぉーーすっげーー!!」
十四松の歓喜の声に皆がお膳の上に視線を向ければ、アタミの海の幸と山の幸がふんだんに使われた豪華なご馳走が目に飛び込んできた。
七人は目を輝かせながら席に着く。