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おそ松さん〜恋セヨ松野さん〜

第16章 アンケート回 松怪奇譚〜序〜




平然と話すイヤミとは対照的に、六つ子とゆめ美は恐怖心から押し黙っていた。チビ太でさえ距離を置いて眺めている。

が、チョロ松はさっきからどうしても違和感を拭えず冷や汗が止まらない。とうとう我慢の限界が訪れ、思い切って女将に聞いてみる。


「あの、随分老朽化が進んでるようですけど、ここってまだ経営してるんですか?あと——…女将さん、なんか肌透けてません?」


チョロ松の目には、女将越しにうっすらと旅館のロビーが映っていた。何回も目を擦ったし、何回も瞬きをしたが女将は透けていた。兎にも角にもスケスケであった。


「何ぬかすザンスチョロ松!やってるからこうして出迎えてくれたんザンショ!チミの目ん玉がおかしくなっただけザンス!」

「ここは名前間違えないのかよ…って、それはいいとして透けてる!どう見ても女将さん半分透けてますよ!?」


チョロ松が無礼にもビシィッと女将を指差して語尾を強めると、何故か女将は照れ臭そうに着物の裾で口元を隠した。


「まぁ!透き通るような肌だなんて…ホーラホラホラ!」

「解釈ポジティブだな!つか笑い方おかしいでしょ!なに匂わせてんの!?」

「五月蝿いザンス!ただのホラー演出ザンス!」

「いや演出で身体透けないから!絶対この世に未練がましい何かある系だから!もうやめよう!帰ろうみんな!!」


旅館に背を向ける三男に対し、長男が一言。


「混浴って書いてあるけど」


三男はクルッとターンし、長男の隣に並んだ。


「早っ」

「勘違いしないで欲しいんだけど、僕は決して混浴につられた訳じゃない。下衆と霊界の魔の手からゆめ美ちゃんを守るためにぶつぶつ…」

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