第16章 アンケート回 松怪奇譚〜序〜
しばらくして、六つ子の実に無意味な小競り合いが終わりを迎えると、トド松は頬杖をつき窓を眺めていた。
——青い空、白いわたあめみたいなくもさん。その下には太陽を反射させる青々とした海。
普段見られない、視界が開けて爽快な景色に、ボクの目は釘付けになった。
ボク達六つ子は、来たる裏展開に向けて期待に胸を弾ませ、いつもの比じゃないくらいはしゃぎまわっていた。
ホント、バカだよね。
イヤミの口車に乗せられてさ。
この時のボクらは知る由もなかった。
まさか、ボク達にあんな運命が待ち受けているなんて。
記憶から抹消したくても出来ない、最恐最悪な夜を過ごすことになるなんて…。
「トド松。お前なに一人でブツブツ言ってんの?こわっ」
「えっ?」
いつの間にか、前に座るおそ松とカラ松が振り返り、訝しげにトド松を眺めていた。
「ご、ごめん。なんか使命感に駆られて…」
「分かるぞ。綺麗な景色を眺めインスピレーシ「ごめんサイコパスと一緒にしないで」
こうして、トド松の前説により恐怖の心霊ツアーは幕を開けたのだった。