第3章 さぁこの出会い、本物の愛にまで育つかな?
(小学生の頃、やんちゃで注目の的だったけど、大人になっても賑やかで楽しい六人だな…)
メニューを下げながら、ゆめ美は遥か昔の記憶を辿っていた。
小学校へたまに登校すると、クラスの話題の中心はいつも六つ子だった。
隣町のいじめっ子と喧嘩したり、教室に巨大な蜘蛛を放ったりと何かとトラブルメーカーな人気者達。
そんなみんなの噂を、一人おとなしく読書しながら聞くのが楽しみだった。
まるで、自分も元気いっぱいイタズラしている気分になれたから。
——あの頃、身体が弱くてクラスに馴染めず、ゆめ美はいつもひとりぼっちだった。
そんな時、クラスメイトの目も気にせず声をかけてくれたのがトト子だ。
引っ越し当日もお見送りに来てくれた、優しくて可愛くて大切な友人。
そんなトト子を追いかけ回していた六人と、大人になってこうして仲良くなるなんて、ゆめ美は思ってもみなかった。
(でも…全員無職ってすごいな…。どうして働かないんだろう……って、あまり詮索するのはよくないよね)
「オーダーお願いしまーす」
とりあえず、今は仕事に集中しよう。
気持ちを切り替え、ゆめ美はランチのセットドリンクとサラダを作り始めた。