第15章 番外編 perfect birthday〜F6〜
空へ飛び立った二人は、十四松のよく分かんない能力で世界中を飛び回り、様々な国の世界遺産を観て回った。
「あー楽しかったー!ぼくはね、エジプトのピラミッドとドバイの夜景がサイコーだった!」
「私は、ピサの斜塔を真上から見たのが感動した!」
地球一周を終えて赤塚に戻り、木の枝で一休みしながら語らう二人。
興奮冷めやらぬ二人は、顔を見合わせ微笑み合う。
(そろそろ渡してもいいかな…)
ゆめ美は背中にある秘密のポケットから、十四松に用意していたプレゼントを取り出した。貧しい彼女が、なんとか六人を喜ばせようと頑張って用意した最後の一つである。
「十四松くんにこれあげる。誕生日のお祝い」
「え?ありがとう!大きな袋だね?てかこんなのどこに隠し持っていたの?」
ガサゴソとプレゼントを袋から取り出すと、白いロボットのようなものが顔を出した。
「こ、これは…ッ!!??」
十四松の青い瞳が大きく見開く。
「幻のピッチングマシーンロ◯ピッチャ!!!!」
「十四松くん、野球好きみたいだから」
言わずもがな——ゆめ美は貧しいので、家の押入れにしまってあったのを発掘してきたのである。
「ハハッ!スゴイよ!!このレトロで味のあるデザイン、凸凹な球で変化球に挑戦出来、バットとラケットがセットになっててハイブリッドでスポーツを楽しめるという、欲張りさんも大満足なロ◯ピッチャをくれるなんて…!!」
「喜んでくれてよかった……キャッ!」
「ワァーーイッ!ィヤフーーッ!」
ゆめ美の言葉を最後まで聞かずに、十四松はロ◯ピッチャとゆめ美を胸に抱き、星降る夜空に飛び出した。
「サンキュー子猫ちゃん!ぼく、毎日これで遊ぶよ」
「うん、沢山ホームラン打ってね!」
ゆめ美が笑顔を向けると、十四松はそっと唇を奪う。
「プレゼントありがとう。そして、キミと過ごせて最高のバースデーを迎えることが出来た。でもね、メインディッシュはこれからなんだ」
「メインディッシュ…?」
キョトンとするゆめ美に、十四松は今日一番の笑顔を向けた。
「さぁ、行こう」
——次はぼく達がキミを喜ばせる番だよ。