第15章 番外編 perfect birthday〜F6〜
「おい、そんな顔すんな。お前にそーゆー顔されると調子狂うんだよ!」
「だって…」
「あー分かったよ!オレの願いを言えばいいんだな?」
ゆっくり腕を解き、ゆめ美と向かい合う。
「一度しか言わねぇから、ちゃんと聞いとけよ?」
「うん…」
ゆめ美が頷いたのを確認し、カラ松は秘めていた願いを告白した。
「……オレの願いは、ゆめ美、お前だ……」
「え?私…?」
鈍感なゆめ美がじれったくて、カラ松は苛立ちをぶつける。
「寝ぼけてんじゃねぇブス!!お前の心も身体も、全部オレだけのものにしたいっつってんだよ!他の兄弟によそ見なんてさせねぇからな!」
顎を指で持ち上げると、カラ松は飢えた狼の如く鋭い視線をゆめ美へ向け、熱い思いを口にする。
「つまりはゆめ美、お前を…愛してる」
低い声音でカラ松が囁いた瞬間——ぷつり、とミサンガが切れた。
「嘘っ!つけたばっかなのに!!」
「フッ、ちゃんと叶ったな?」
「カラま……っ」
口を塞ぐような口づけをされ、ゆめ美の中にカラ松の熱っぽい舌がねじ込まれる。
「ん…ま、待って…っ」
貪るような激しいキスの最中、獣は優しく囁く。
「次はオレがお前の願いを叶えてやるよ」
(私の…願いは——)
「じゃあ、もっと抱きしめて…」
「くだらねー願いだな。けど」
ちゅ、とおでこに優しいキスを落とし、ゆめ美を腕の中に閉じ込める。
「これくらいの願いなら、いつでも叶えてやるぜ?」
虹は二人を祝福するかのように、いつまでも空を彩っていた。
こうして、ゆめ美とカラ松は甘い時間を過ごし、後にこの場所は「恋ヶ岬」と呼ばれ、虹のかかる日にここでミサンガをプレゼントしあったカップルは永遠に結ばれるという、乙女度の高い伝説が生まれたそうな。
・・・