第15章 番外編 perfect birthday〜F6〜
「何も生意気なことなんて言ってない!」
顔から湯気を立ててむくれるゆめ美に向き直ると、カラ松はゆめ美の腰に手を回した。
「その態度が生意気だっつってんだよ!こんなに身体を冷やして…ったく、しょうがねぇブス!どこにいたって、必ずオレが見つけ出してやるから、お前はうろちょろしねーでおとなしくしてろ」
「か、カラ松くん…っ!?」
悪態をつきながら、カラ松はゆめ美の背中を抱きしめた。カラ松の香りと温もりが優しくゆめ美を包み込み、二人の体温が交じり合う。
「あったかいか?」
「う…ん」
(言葉は乱暴だけど、優しい…)
ゆめ美はカラ松の腕を取り、手首に青色のミサンガを結んだ。勿論ゆめ美お手製である。
「あ?んだよこれ?」
「誕生日プレゼント。こんなのしか用意出来なかったけど、おめでとう」
「……フン、つまんねーこと覚えてんなよな」
言葉は冷たくとも、その腕は思いをぶつけるように、ゆめ美を強く掻き抱く。
「カラ松くん、苦しいっ」
「うるせ…黙って抱かれてろ」
カラ松の温もりに胸がいっぱいになりながらも、ゆめ美は口を開く。
「あのね、ミサンガが切れるとね、願いが叶うんだって」
「願い……か」
少し照れ臭くなりながらも、ミサンガに込めた思いを伝える。
「ただのおまじないだけどさ、カラ松くんの願いが叶うといいなと思って…。願いごと決まった?」
「いいや。こんな紐に頼るとか気持ち悪ィだろーが」
「…せっかく編んだのに、そんな言い方しなくても…」
腕の中、しょんぼり肩を落とすゆめ美を見て、カラ松はバツの悪そうに小さく息を吐いた。