第15章 番外編 perfect birthday〜F6〜
・・・
「あーっ、ユメ今寝てたでしょ?」
「っ!!」
突然名前を呼ばれ、ゆめ美の意識が呼び起こされる。
(あれ…ここは…?)
チョロ松に身体中のあんなとこやそんなとこを世界不思議発見されていたはずのゆめ美だが、目を開けばそこはトド松の自室だった。
「もしかして寝ぼけてる?しょうがないお姫様っ」
部屋をキョロキョロ見回すゆめ美を見て、ベージュのベレー帽にピンクのカーディガン姿の妖精は、絵筆の動きを止めて優しく微笑む。
(そうだ…!クルージングの後、トッティに誕生日プレゼントを渡しに大豪邸に行ったら、絵画モデルを頼まれて女豹のポーズを取っているところだった!)
ドライブしたり豪華客船に乗ったり、実に濃くて長い一日だが、まだ昼過ぎという設定だったりする。
「ほら、もっと腰を反って、こんな感じで」
「あ…」
トド松は席を立ち、四つん這いになっているゆめ美の腰を掴んだ。ポージングを指示されているだけなのに、ゆめ美の心臓は煩いくらいにバクバクと高鳴る。
(恥ずかしい…。トッティは何とも思わないのかな?)
脇腹を撫でられ、羞恥とくすぐったさに唇をキュッと閉じて耐えていると…
「ねぇ、ユメは何とも思わないの?」
「え?」
まるで、先ほどのゆめ美の心の声を再現したかのような台詞。
顔を向ければ、小悪魔な笑顔のトド松がゆめ美を見つめていた。