第15章 番外編 perfect birthday〜F6〜
おそ松とドライブ&カーセックスして過ごしたゆめ美は、気がついたら、豪華客船の船首で冷たい海風に髪をなびかせていた。
「ゆめ美さん」
名前を呼ばれ、振り返る。
するとそこには、緑髪を太陽の光できらめかせた、インテリジェンスな雰囲気を醸し出した超絶眼鏡イケメンの姿が…。
「チョロ松くん」
「ここへ来て、すぐに貴女がいるって分かりました。貴女には、私を惹きよせるオーラがありますから」
(そうだ。うっかり忘れていた。私はドライブのあと、F6でアイドルで赤塚不二夫財閥に属する六つ子の三男坊でハーバード大学准教授でビューティージーニアスなチョロ松くんに招待されて、豪華客船のクルージングを楽しんでいるんだった!)
「この船の乗り心地はどうですか?過ごしやすいでしょうか?」
「うん、とっても素敵。夢みたい…」
その一言が、チョロ松の美しい顔に笑顔の花を咲かせる。
「よかった…。設計は主に私が携わったんです」
「そ、そうなの!?」
さすがはビューティジーニアスである。
驚きのあまり、開いた口が塞がらないゆめ美を見て、チョロ松は気恥ずかしそうにそっと手を取った。
「…そんな大したことじゃないですよ。ここで立ち話もなんですし、さぁ、行きましょう」
「どこへ行くの?」
ゆめ美の問いに、チョロ松は眼鏡の奥の瞳を細めて微笑む。
「身体が冷えてしまいますから、船室に戻りホットワインでも飲みましょう?」
ゆめ美の胸がドキリと弾んだ。
(部屋で、二人きり…ホットワイン…)
エロい期待にしおらしく頷くゆめ美を見て、チョロ松は満足げに口の端を上げながら、船室へと向かう扉を開けるのだった。