第14章 トッティメモリアル
「おつかれさまでしたー!」
全速力で出口まで辿り着くと、先ほどとは別の係員が待ち構えていた。ジェイソンマスクも被っておらず、至ってフツーのお姉さんである。
係員はニコニコと二人の手錠を外した。
「いかがでしたか?リニューアルオープンしてからすごく評判なんですよー」
「すごく怖かったですけど、あのジェイソン役の男はクビにしてください。客に手を出すクソな奴でした」
「え?ジェイソン役?」
係員は首を傾げながら口を開く。
「おかしいですね…。ジェイソンが出没する日は決まってて、今日はゾンビのはずなんですけど…」
「え?」
顔を見合わせる二人。もう何が何だかちんぷんかんぷんだ。
「暗いので勘違いされたのかもしれませんね。では、お気をつけておかえりください。ありがとうございましたー」
笑顔で会釈する係員にぺこりと頭を下げて、ゆめ美達はジェイソンの館を後にする。
「私達が襲われたのって、確かにジェイソンだった…よね?」
「となると、やっぱりあれは一松兄さん…!」
「あはははっ!だからそれはないって!トッティ、怖がりすぎて幻覚でも見たんじゃない?」
「そ、そっか。そうだよね。そんなはずないのに、ボクなに言ってるんだろーね!じゃあ息抜きにあのお店でお茶してかない?」
「うん、甘い物食べて休憩しよ!」
こうして、複雑に入り組んだ謎や疑問は、甘いスイーツによって溶かされていくのだった。
・・・