第14章 トッティメモリアル
(ヤバイよ…マジなんだこれ。可愛すぎるでしょ…)
目の前の伏し目がちな女の子は、恥ずかしさを押し隠し、耳まで紅潮させている。
いや、暗がりだから正確には顔が赤いかどうかは分からないが、その切なげな吐息からトド松は容易に読み取れた——きっとボクらは同じ気持ちだ、と。
ジェイソンの荒い息遣いが、ベッドの周りを行ったり来たりしている最中、恐怖に支配されていたはずの心は今、ゆめ美へと真っ直ぐ向けられている。
——ずっと、二人きりになりたかった。
——キミを独り占めしたかったんだ。
勝ち戦しかしない主義なんて思っていたトド松だが、想いを確かめるだとか、様子見るだとか、そんなのはもうどうでもよくなっていた。
(あの、トッティ、顔…ちか)
(ユメ…)
離れようとしたその腕を引き寄せ、そっと名を呼ぶ。
そして——
(捕まえた)
「ケッ、仕留め損ねた…」
悔しそうなジェイソンの声が響く中…
( )
(えっ?なに…?)
トド松は何かを呟き、そして、
(……っ!!)
鎖が戯れにジャラリと鳴り、キスがゆめ美の唇に落とされた。
「…いない…」
ベッドの下の二人を見つけられなかったジェイソンは、唸るように吐き捨てると、乱暴にドアを閉めて出て行った。