第14章 トッティメモリアル
「これからどうしよっか?せっかくだからアトラクションで遊んでく?」
「うん、どれがいいかなぁ?」
案内図を眺めるゆめ美に、トド松はあるアトラクションを指差した。
「ボクこれ行きたーい」
「ジェイソンの館?でも、チョロ松くんがトッティは怖いの苦手って言ってたけど…」
(シコ松兄さん…性懲りも無く余計なことを…!)
帰ったら事故を装い足を踏もうと心に決める。
「だ、大丈夫だよ。作り物って分かってれば!」
「でも、かなり怖そうだよ?」
「いいじゃん!行こー!」
不安げなゆめ美の手を引き、トド松は半強制的にジェイソンの館へと向かう。
(ユメの言う通りボクは怖いの大っ嫌いだけど、ここのは幼稚園児も鼻で笑うレベルで有名らしいからね。流石のボクも余裕でしょー!)
トド松は、身体を密着させたいが為に下調べは万端だった。
・・・
そんなこんなで、ジェイソンの館前に着いたものの…。
「うっわ混んでるー」
「一時間待ちだって」
ゆめ美達は、長蛇の列に息を呑んだ。
「すごい人気だね。先頭が見えないや」
「でもさ、某夢の国なんて三時間待ちとかザラだし、ボク達ならおしゃべりしてたらあっという間だよ」
「ふふっ、そうだね。でも長時間並ぶんだから、入る直前でやっぱやめたは無しだからね!」
「ないない、ありえない。ユメこそ、怖くて泣いちゃったらどーしよっかなー!おいてこっかなー?」
とゆめ美に冗談を言いつつも、トド松はアトラクションから聴こえてくる悲鳴に心臓が縮み上がっていた。
「それだけはやめて!」
「えへへっ!冗談だって!」
(大丈夫。大丈夫大丈夫ッ!!幼稚園児が鼻で笑い、ジェイソンが脅かすどころか笑わせにきてるってサーチ済みだ。きっとあの悲鳴は演出に違いない!怯むなトッティファイトだトッティ!暗がりで吊り橋効果を発動させるんだから!)
表面では余裕ぶり、心ではお経を唱えるが如く自己暗示を続ける。
そして、恐怖心を払拭するため、他愛のない会話をしながら列を待ち、ついに…
「ようこそ…ジェイソンの館〜戦慄の金曜日ver〜へ…イヒヒ……」
二人の順番が訪れ、ジェイソンマスクを被った係員がノソノソと近づいてきた。