第13章 十四松の誓い
「簡単に、分からないからいいんじゃないかな?」
「なんで?」
「ええと、そうやって、悩んでぶつかって、お互いを知っていくのって素敵なことだよ。そうなるのって好きだし信頼しているからでしょ?好きじゃなくて興味もなければ、深入りしないであぁそうですかで終わっちゃうもん」
小さく息をつき、膝を抱え、「それに」と付け加える。
「十四松くんの優しさに、一松くんは何度も助けられてると思う。一松くんだけじゃなく、きっと他の兄弟や…」
「わ、私も」
こんな拙い言葉でも、元気付けられただろうか?そう思い、ゆめ美が十四松の顔をチラッと見ると…
「ありがとう。ゆめ美ちゃん」
夕闇の中、十四松は頬を染めながら、ゆめ美にふわりと微笑みかけた。
「十四松くん?」
「ん?どうしたの?」
「…なんでもない」
「そっか」
何故だか分からないが、今、ゆめ美の目に映る十四松は、とても大人びて見えた。
その笑顔がいつものように口を半円に開けてニッコリではなく、柔らかな微笑みをたたえていたからなのか。
夜を纏い、少し肌寒くなった風にゆめ美が微かに肩を震わせると、十四松はそっとゆめ美の肩を抱いた。
「…っ!」
「ごめん、寒いよね?」
「へ、平気」
(なんだろう。いつもの可愛い十四松くんじゃないような…)
触れられた肩に熱がこもり、鼓動が早くなる。