第13章 十四松の誓い
(何考えてるのか分からないけれど、いい人なんだっていうのは分かる…かも)
じゃなきゃこんなに澄んだ瞳で笑えないよ、とゆめ美は思った。
それと同時に、この青年というか野球少年に興味が湧いてきた。謎だらけな十四松は、普段どんなことをして過ごしているのだろう、と。
「トレーニング終わったならさ、これから何するの?」
「なんも決めてないよー!ゆめ美ちゃん、一緒に遊ぶー?」
突然のお誘いに、赤面するゆめ美。
「あの、私もちょうど予定なくて…」
「じゃあ遊ぶのー?」
「う、うんっ!十四松くんがいいなら」
つまりはOKである。
「ワーーーイッ!!」と飛び跳ねる十四松の横で、ゆめ美もつられて笑顔になった。
「じゃあ、ぼくんち行こーよ!!ぼく着替えたいから!」
「いいけど、それじゃあやっぱり…」
「うん!クソ寒い!!」
(だったら泳がなきゃいいのに…)
思考回路はミステリアスだが、どうやら身体の感覚は普通の人とさほど変わらないらしい。
(やっぱり、十四松くんは少し不思議で面白い)
堪えきれずゆめ美がクスクスと笑うと、首を傾げて照れくさそうに十四松は野球帽をクルクルと回している。
こうして、ゆめ美は初めて十四松と二人っきりの時間を過ごすこととなった。