第13章 十四松の誓い
ゲラゲラ笑うトト子を見て、ゆめ美はまるで自分のことのようにシュンと下を向いた。
それをトト子が見逃すはずがなく、思わず「げ」と声を漏らす。
「ゆめ美、あんたまさか!?」
ゆめ美の表情は、完全に恋する乙女だった。
「えーーーっ!!嘘!?もしかしてクソニートが好きなのぉぉおお!?」
そこで、ポンとゆめ美の肩に手を置いた。
それはまるで、答えを聴く前から「やめとけ」とでも言いたげだ。
「好きというか、一緒にいると楽しいよ?」
「……ゆめ美」
トト子は俯きながら、くぐもった声でゆめ美の名を呼んだ。
ゆめ美の肩に乗せた手がぷるぷると震える。
「な、何?」
「目を覚まして。それはきっと、ハロー効果だと思う」
「へ?何それ?」
「錯覚」
「錯覚?」
こくりと頷き、ゆめ美の肩を激しく揺さぶる。
「ハロー効果って言うのはね、超絶可愛いトト子の幼馴染って肩書きだけで、あの文無しタコ共の印象が上がってるって意味!そう!絶対そう!それであいつらが良く見えるだけ!目を覚ましてーーッ!!」
トト子の目にうっすらと涙が浮かぶ。
「トト子!分かった!分かったから手を離して!」
「あいつらに毒されて感覚麻痺してるだけだって!今度一緒に相席居酒屋行こ?トト子が目を覚まさせてあげるからーーーッ!!」
肩を揺さぶったことにより、首がガクガク縦に動いたのを頷いたと勘違いしたトト子は、安堵の表情を浮かべてゆめ美の肩を解放した。