第12章 恋とニャンコと真心と
お家を出たのまではよかったんだけど、街中どこを歩いても、ぼくは勝手に声が出ちゃって、みんなカンカンだ。
ぼくは、みんなが隠している本音を次々に暴いてしまう。
当然、みんな怒る。
だってそうでしょ?街中で突然パンツ下ろされたら誰だって怒るよね?
道端のゴミを投げながらみんなかぼくを追いかけてくる。人間の波にのまれそうになりながら、ぼくは分かった。
本当の気持ちは自分の意思で見せるものなんだって。
嫌いって気持ち。
好きって気持ち。
気持ちにもいろいろあるけれど、隠すも晒すも自分次第。
他動的に無理やり剥き出しにしちゃいけないシロモノだったんだ。
ぼくは嫌われ者。
逃げて逃げて、どこまでも逃げよう。
誰もいないところへ…。
「ゥニャッ!?」
コツン——と、投げられた缶が背中にぶつかった。
ぼくは歯を食いしばり、痛みに堪えながら、暗い路地裏へと逃げ込んだ。