第12章 恋とニャンコと真心と
・・・
ぼくは猫。
名前は…なんでもいいよ。好きなように呼んでくれて。
今ぼくは、ともだちの一松にだっこされている。
ぼくは一松が大好き。
ごはんくれるし、遊んでくれるしとっても優しいんだ。
だけど、一松はいっつもさびしそう。
どうやら人間のともだちがいないみたい。
あ、でもアカツカ亭のゆめ美ちゃんとはともだちなのかな?
だって、おしゃべりしてたし、一松うれしそうだった。
でも…うーん。
昨日の様子を思い返すと、ともだちとは違うかも。
きっと、一松はゆめ美ちゃんのことを…。
——ま、それはいいとして。
今ぼくは、一松と一松の弟の十四松と一緒に、変なトコに来ている。
研究所みたいなとこで、白衣の下にでっかいパンツを履いた、犯罪者予備軍ぽい変なおじさんと十四松がしゃべっている。
ぼくは耳を立てて、会話に聞き入っている。
途中、一松が叫んだりハンマーが振り下ろされそうになったり、みんなにぎやかだ。
うんうん、なるほど。
一松はぼくの気持ちを知りたいんだって。
そうだよね。ぼくは人間の言葉でおしゃべり出来ないもん。
だから、伝えたくても伝えられない。
そんなこんなで…。
「あぁぁぁあ!!離せぇぇえ!!ブチ殺すぞ十四松ぅぅうっ!!」
「一松兄さんのこんなおおごえきいたのはじめてー」
一松はぼくのために、"気持ち薬"っていう、ぼくの気持ちが分かるようになるらしいアブナイ薬を、お尻に注射されかけているんだけど。
とっても怖がっている。
ダメだよ。
もうやめて。
一松をいじめないで!!
——ぼくは、無我夢中で一松のお尻に向かいジャンプした。
「ニャッ!!??」
「あら…」
ぼくのお尻に、ツーーーッて気持ちいいくす…気持ち薬が注入された。
・・・