第11章 恋煩いライジング
頭から"?"が浮かぶゆめ美を他所に、チョロ松はドカッと腰を下ろした。
「はー出すもん出してスッキリしたぁ!おっ、それうまそー!一口ちょーだーい!」
「ふふっ、いいよ。でも美味そうって、さっき味見してたのに変なの」
フォークで一口分すくうと、チョロ松は自ら口を開けて待ち構えている。
そこで、違和感を感じ手を止めた。
「チョロ松くん、さっきと雰囲気変わったね?」
「へ?そ、そうシコか?そんなことないシコよ」
「…そんなシコシコ言ってたっけ?」
「きゃーー!!ゆめ美ちゃんったら大胆だなーもーーぅ!!」
言われて気づき、ゆめ美はカァッと顔が熱くなった。
「ち、違うっ!今のはチョロ松くんの言葉使いの真似しただけっ!」
「俺がなんて言ってたって?もう一度真似してみ?ほらぁ」
こんなセクハラ発言するような人だったっけと思ったところで、チョロ松の背後に人影が見えた。
「おい、次はオレだ」
「ええーっ!もう交換ーー?これからイチャつくところだったのにぃ!」
「カラ松くん!」
「や、やぁゆめ美!奇遇だな!ちょっとチョロ松を借りてくぜ?」
「え?でも…」
「すまないな」と一言告げて、カラ松は戻ってきたばかりのチョロ松を引っ張り店から出て行った。そして三分後、今度はシャツの第三ボタンまではずし、胸元をはだけさせ、サングラスをかけたチョロ松が戻ってきた。
「フッ、待たせたチョロ」
チョロ松は口角を上げながら、足を組んで座る。
「う、ん…。また雰囲気変わったね?あと言葉使いも」
「そんなことないチョロ。で、オ…僕達、どんな会話してたチョロっけ?」
「どんな会話?特には…」
「そうか、ならば…!」
再び疑問符を浮かべるゆめ美に向かい、得意げに指を鳴らした。
「話題を変えるチョロ!僕の尊敬するカラ松兄さんについて、二人で語りあおんっ!?」
「はい終わりだよー。こっちきてー」
「一松くん!?なんで今サングラスをチョロ松くんの目に突き刺したの!?」
「……べつに。雰囲気」
(ふ、雰囲気…)
またしてもチョロ松は数分で連れ去られてしまった。