第11章 恋煩いライジング
(付き合ってるって…そんな風に見えるかな)
トイレから戻ってくるのを待つ間、ゆめ美はチョロ松の言葉を思い返していた。
"付き合ってる"という単語に、何故か心がむず痒くなる。
そんな胸の内を誤魔化すように、また紅茶を一口飲めば、柑橘系の香りにゆめ美の心は華やいだ。
(チョロ松くんて、ウブな感じがして可愛いな。六人の中では一番真面目なのかも。うん、強烈なみんなを纏める役って感じかなぁ。チョロ松くんが纏め役なら、おそ松くんは——)
暇な時間を使い、やっと掴んできた六つ子の個性を、ゆめ美なりに分析してみることにした。
(おそ松くんは、いつもふざけてて掴み所のない性格してるけど、なんだかんだ弟くん達の理解者だよね。カラ松くんは独特なファッションセンスとこだわりがあって、ちょっと、いや、大分不思議だけど、優しくて頼りになる感じ?一松くんは人と話すの苦手そうだけど、兄弟といる時は活き活きしてるかな。もう少し仲良くなれたら、私とももっと話してくれるかな?)
次は十四松だが、そこで頭を捻る。
(十四松くんは、なんだろう。いつもニコニコしてて純粋な野球少年?そういえば私、十四松くんとはあんまり話せてないかも。逆に一番話してるのはトッティかな。トッティとはラインでやり取りもしてるし、一番話しやすくて——)
「おまたせー」
チョロ松の声に気づき顔を上げる。
「あっ、おかえりチョロ松く…ん?」
帰ってきたチョロ松は、何故かスーツがヨレヨレになっていた。そしてメガネを外している。