第10章 恋熱にほだされて
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「ご馳走さまでした」
おかゆを食べ、薬と松汁を飲み終わると、ゆめ美はベッドに横になった。
辛そうだった表情が幾分か和らぎ、カラ松は安堵する。
そんなカラ松を見て、ゆめ美は申し訳なさそうに笑みをこぼした。
「ありがとね。デカパン博士の所へ連れてってくれた上に看病まで…」
「気にするな。明日の見えない世界へ旅立とうとしていた矢先、キミという道しるべがオレの元へ舞い降りてきたのさ」
「あれ、なんだろ…また熱が…」
「あぁっ!すまない!安静にしてないとな」
ずれた布団をカラ松はそっとかけ直す。
「そうだ。ちょっと待っててくれ」
そう言って立ち上がると、冷蔵庫でギンギンに冷やした冷えビタを持ってきた。
「熱を帯びた額にクールな衝撃を与えてやろう。動かないで…」
「……ありがとう」
カラ松は汗ではりついた前髪を掻き分けタオルで拭いてから、ゆめ美の額に冷えビタを貼ってやった。
「ん、気持ちいい」
「……!」
至近距離で目が合うと、カラ松は慌てふためきながらカーペットに正座した。
そんなカラ松を見て、ゆめ美も少し恥ずかしくなり布団を深くかぶる。
「なんかさ、看病されるのってすごく久しぶり」
「そうなのか?」
「子供の頃は親がつきっきりになってくれたけど、今は一人暮らしだからね」
「オレ達は六人で看病しあってるぜ」
「ぽいねー」と言いながら笑った拍子に、ゴホゴホとゆめ美は咳き込んでしまい、カラ松は喋らせてしまったことを後悔する。
「大丈夫か!?少し眠った方がいい。じゃあ…オレは、これで…」
スッと立ち上がる。
このまま二人きりでいたら、カラ松はどうにかなってしまいそうだった。