第10章 恋熱にほだされて
一方その頃、松野家次男カラ松は、成功率0.02%の逆ナン待ちをしに、お気に入りの橋へ向かう途中だった。
「ん、んーーーん…!」
グーーッと腕を上げて身体を伸ばす。
珍しく早起きした彼は睡魔と戦っていた。二度寝しようかとも思ったが、せっかく早起きしたのだ。朝限定モーニングカラ松を、カラ松ガールに届けようと思い立ち、家を出たのだった。
(眠い…。だがしかし良い天気だ。サンシャインがオレに微笑みかけている。こんな日は幸福が道端に転がってそうだぜ!)
なんて空を見上げ考えていたら、ふと昨日のゆめ美とおそ松を思い出す。
(あの二人…悔しいがなかなかお似合いだったな…)
考えれば考えるほど、胸の中がざわついてくる。カラ松は未だに二人で出かけたことが無かったのに、おそ松はちゃっかりゆめ美と出かけ、あまつさえ手を繋ぐ始末。
羨ましくってたまらなかった。
頭からあの出来事を払拭したくて逆ナンを待とうと思ったのだが、ゆめ美の笑顔を思い出せば、そんなチープな出会いを求めるのがバカバカしくなってきた。
(そうだ…!アカツカ亭にモーニングコーヒーを飲みに行こう!)
オレとしたことが…!なぜもっと早く気がつかなかったんだ!と自分を十秒くらい攻め続け、踵を返し商店街へと足を向けた。
…ちなみに、モーニングと言っても起きたのは十時だ。決して早起きとは言えない。