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おそ松さん〜恋セヨ松野さん〜

第9章 絡まる恋糸



無我夢中で走り、気づけば二人は念願の中華飯店前まで来ていた。

ゆめ美は立ち止まり肩で息をしている。


「お、おそ松くん…もう無理…走れない…!」

「ここまで来れば追ってこねーだろ」


ヘトヘトなゆめ美とは対照的に、おそ松はヘラヘラと笑い余裕綽々だ。


「で。どうする?メシ食う?」


おそ松は親指を立てて中華飯店を指す。

だが、ゆめ美はポップコーンでだいぶお腹が膨らんでいた。


「うーん、もう少しお腹が減ってからがいいな」

「それもそーだよな。じゃあさー、これ行っちゃう?これ?」


そう言って今度は手をクイッと回す。


「ごめん、私はパチンコしないから」

「あ、やっぱり?じゃあさ…二人で勉強会でもするぅ?」


見て見てと言わんばかりに、手に持ったレンタルショップの袋をぷらぷら揺らす。

悪びれもせず堂々と勉強と言う名のAV鑑賞を誘うおそ松に、ゆめ美は驚きを通り越し呆れ果てた。


「…観るわけないでしょ。あと…その、手」

「ん?手がどした?」


イヤミのカフェから逃げてきた時から、二人の手は硬く繋がれていた。

汗ばんだ手は解かれることなく、おそ松の大きな手に華奢な白い手が包み込まれている。


「もう、離しても…平気だから…」

「えーーっ。ダメ」

「ど、どうして?」

「今ゆめ美ちゃんは俺のなの!だからダメったらダメー」


嬉しそうに歯を見せて微笑む彼は、まるでやんちゃな子供のようだ。

ゆめ美が照れて顔を赤くするのなんて御構い無しに、そのまま口説き始める。


「なぁ一緒にAV観ようよ〜!ゆめ美ちゃんってあんまそっちに免疫なさげだからさ、俺が鍛えてやるって」

「けっこうです」


振り解こうと腕を振るも、おそ松の手はビクともしない。


「じゃあさ、お試しお兄ちゃんってのどーお?一週間俺といちゃいちゃしてさ、気に入ったら付き合ってよ」

「試しません」

「分かった!選べねーなら俺ら六つ子全員と付き合えば?曜日ごとに分担してさ。日曜日だけは休んでいいから!あ、休むってのはさ、まぁ分かるよな?六人分の…」


そこまで言いかけて、おそ松は話すのを中断する。


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