第9章 絡まる恋糸
ポップコーンはまぁ普通のポップコーンなのだが、ぜんざいはぞんざいな代物だった。
餅では無く白玉、それはまだ許せるとして、あずきが完全にお湯で溶かして食べる粉末状のソレである。
「オーガニックどころかインスタントって…。これが、自己責任カフェ…」
「んー?どしたゆめ美ちゃーん?ぜんざい食わねーの?てか味薄っ!!」
おそ松ですらぜんざいの不味さに顔を歪ませている。
ゆめ美はスプーンを置き、肩を落とした。
「おそ松くん、入ろうって言ってごめんね。おそ松くんの言う通り、真っ直ぐ中華食べに行けばよかった」
「あぁ、気にしないでよ。どーせあいつのことだから胡散臭い商売してるっつーのは目に見えてたし。自販機価格でおもしれーもん食えたと思えば安いもんでしょ?それに…」
話の途中、おそ松はちゅうとコーラを飲み干し、嬉しそうにニカッと笑った。
「いっぱいデート出来たしな」
「おそ松くん…」
よく恥ずかしげも無く素直にそんなことを言えるなぁとは思ったものの、その笑顔にゆめ美もつられて笑みがこぼれる。
「そうだね!私もすごく楽しかった!」
「だよな!ま、ぶっちゃけこの店には二度とこねーし宣伝もしてやらねーけど」
クスクスと顔を見合わせて笑いあう。
「あれ?距離縮まった感じ?また膝の上来る?」
「それはもういい」
そうして、暫く他愛もない会話を楽しんでから二人はレジへと向かった。