第9章 絡まる恋糸
映画が終わり、ざわざわと賑わう館内から解放され、二人は通りを歩いている。
「楽しかったね!アクションだと思ったら途中からグルメ路線に切り替わったのが奇抜で良かったかも!」
「へー、そうだったっけ?」
「え?観てなかったの?もしかして寝てた?」
「あぁ…えっと、そういやそうだったよな!いやぁグルメだったよグルメグルメ〜!」
ポケットに手を入れ笑うおそ松は、ゆめ美にタッティがバレないようパーカーを目一杯下げた。
幸いゆめ美は気づいていない。
(よし、良い感じに誤魔化せてんな!はー今日ジャケットじゃなくてマジ助かったー!)
なんて余裕綽々になった所でぐぅぅとお腹が鳴る。
「お腹すいたの?」
「そーみたい。ホントこの身体正直すぎて困っちゃうよー」
勿論、下半身も含まれている。
ゆめ美はキョロキョロと立ち並ぶ店を見渡した。
「うーん、この辺食べるとこ無いね」
何を食べたいか訊こうとゆめ美が口を開きかけたタイミングで、おそ松は「そーだ!」と声を上げた。
「俺さ、駅前の中華飯店行きたーい!あそこのチャーハンすっげー美味いんだぜ!」
店のチョイスがおそ松くんらしいなと、ゆめ美はふんわり笑って頷いた。
「じゃあそうしよっか?私、麻婆豆腐食べたい!」
「んじゃ決まりだな!」
「ええと、じゃあそこの道を左に…」