第2章 出会っちゃったのだ!!
カラ松は頭を抱えながら大袈裟に嘆き悲しんでいる。
「なんたるミステイク…セイムウインドウスチューデントだったゆめ美を忘れていたなんて!」
「その横文字大分無理あるから」
上手い英語表現だと思い込んでいるカラ松に対し、チョロ松の氷のようなツッコミがツララとなって突き刺した。
「でも、同級生だったのにはじめましてなんて言って、そ、その、ゴメンなさい…っ!」
「気にしないで。殆んど学校休んでたから憶えてないのが普通だもん。私だってみんなを見た時六つ子だって驚いたけど、同級生だったのは後から思い出したし」
「なんで休んでたの?学校たのしーのにー!」
「おいっ十四松!」
無垢な十四松が興味本位で聞いたのに対し、チョロ松は慌ててストップをかけた。何か訳ありで通えなかったのかもしれないし、ほぼ初対面でそれを聞くのは失礼だと思ったからだ。
だが、ゆめ美は意外にも気にする様子もなく笑顔で答えた。
「仕方なかったの。小さい頃、身体が弱かったから。トト子はね、そんな私の元へ、しょっちゅうアジを持って遊びに来てくれたんだ。だから再会出来て、こうしてまた仲良くなれて本当に嬉しかった」
「そーなのー、トト子超絶可愛い上に超絶イイ子なのー!」
ついに花壇に話しかけ始めるトト子。相当酔っ払っている。
ゆめ美はそんなトト子の身体を支えながら、近くにあったベンチに座るよう促した。
その時、トト子の荷物が肩からずり落ちそうになると、咄嗟にカラ松が荷物を持つ。
「あ、ごめんなさい!あの、名前は?」
「オレかい?オレは松野家に生まれし次男、松野………カラ松!」
「あはは…ありがとうカラ松くん」
不思議な人だなぁと思いつつ、ゆめ美はぺこりと頭を下げる。