第3章 再会!帰郷のリンクメイト!
先を行く二人を、ユーリはじとりと観察する。
視線に気付いたヴィクトルが、めいっぱいの笑顔でユーリを振り返り、ウィンクをひとつ。
ファンサービスとかいらないから、さっさと歩けよ、という意味を込めて睨みつければ、やれやれと肩をすくめられた。
こういうところも苛つく。
徹もヴィクトルも、二人して大人な顔をして、ユーリに「そのうち分かるようになるよ」と微笑むのだ。
「ところでユーリ」
ヴィクトルが振り返ったまま言う。
「あ?なんだよ」
「優勝おめでとう」
「グランプリファイナル取ったヤツに言われても、皮肉にしか聞こえねーんだけど」
嘘だ。本当は嬉しい。
ユーリだってヴィクトルに憧れながら育った世代だ。
憧憬を向ける相手に賛辞の言葉を贈られたら、舞い上がってしまう。
けれど舞い上がってしまう自分が恥ずかしくて、冷たく反抗的に返すことしかできなかった。
「じゃあ僕が言おうか。おめでとう、ユーリ」
「グランプリファイナルで優勝させられるくらいのプログラム作ったヤツに言われても、皮肉にしか聞こえねーんだけど」
「ユーリはワガママだねぇ。ねっ、トール。君もユーリを見習ってもっと厚かましく行こうか」
「ヴィクトルは僕にロシアンヤンキーになってほしいの?」
「荒々しいトールもそれはそれで魅力的でいいね」
「あー、そういうのはオレのいないとこでやれよ」
コイツらといると調子が狂う。
また何事か談笑し始めた師弟には付き合っていられない、とユーリは足速に行く。
「でも本当に、心からおめでとうって言わせて。ユーリ、君の今までの演技の中で、一番きれいだった」
徹が柔らかい口調で言った。
ユーリは唇をかみしめる。
今までの中でって、なんだよ。
それじゃあ意味がないんだよ。
誰よりも綺麗で強くなければ。
「なら、お前の振り付け、オレにくれよ」
「へ?」
徹が目を丸くする。
「優勝祝いに。お前、そういうの得意なんだろ?選手の魅力を引き出すのとか。ならオレに、オレが最高の選手に見えるプログラムをくれよ」
「僕がユーリの……?」
顔を正面からのぞきこむと、徹が明らかに動揺しているのが分かった。
視線をあちこちに飛ばして、真っ直ぐにユーリの方を見ない。
「駄目だよ」