第3章 再会!帰郷のリンクメイト!
相手はヴィクトル・ニキフォロフだ。
コーチと選手という関係も、ヴィクトルが望んだからこそ実現したもの。
自分から求めて、それで、拒絶されたら?
「…………離れずに、そばにいて」
「What? トール、何て言ったんだ?」
「いや、なんでもないよ」
徹は笑って追求を逃れる。
ヴィクトルに背を向け、自分も帰る支度をしているふりをして、涙をぬぐった。
「そんなことより、ユーリもヤコフも短気なんだから、早く行かないと……っ!?」
徹は驚きに息を呑む。
ついさっきひっぺがしたばかりのヴィクトルが、再び抱きつきに来たのだ。
先程までのヴィクトルは甘えるような態度だったが、今度は違う。
有無を言わさぬ強さで徹へ腕をまわし、がっちりとホールドしている。
身をひねって顔を見ることもできない。
「ヴィ、ヴィクトル……?」
表情が見えないことで、徹は焦った。
ヴィクトルは非常に顔に出やすい性質だから、顔さえ見えていれば何を考えているかは簡単に分かったりする。
今どんな顔をして、何を思っているのか。
次に来る言葉に、徹は緊張した。
「ねぇトール。もしかして自分は俺とつりあわないとか、考えてる?」
徹は肩をふるわせる。
図星だ。
「馬鹿だな。ほんとに馬鹿だ。どうしてトールはいつもそうなの?君を選んだのは俺だよ?釣り合うとか、釣り合わないとかじゃない。俺にないものを補ってくれると信じたから、俺はトールを選んだ」
ヴィクトルはぐい、と徹の肩を押して向き合うと、するりと指をそえて顔を上向かせた。
「そして、その選択は間違いじゃなかった。それは今日、俺自身が証明した。トール。君は、俺にとって必要な存在だ。なのに何故、これからも一緒にいようって、言ってくれないんだ?」
徹の目にじわりと涙の膜が広がる。
「俺の中には、YESしかないのに?」