第6章 危険な悪戯
『ぁ……と、ハラ? ……な、にか……お、怒って、?』
「んー? 怒ってなんか無いよ? こそ、そんなにビクビク怯えてどうしちゃったの」
『ひっ……ゃ、ぁ……』
目の前まで近づいてきたハラの雰囲気に圧倒されて声が出てこない。
優しげな笑みを浮かべているのに、全然声に感情が入ってないような……
「声も出ないの? そんなに怯えられると悲しいなぁ……あ、でもその顔は見れて嬉しいよ♪」
顎を掴まれて上を向かされるとハラと視線が交わる。
獲物を狙うかのような真っ直ぐと鋭い視線に、体が竦み恐怖から涙が溢れた。
『な……んで……っ?』
「なんで……か。 苛めたくなってくるんだよね、ちゃんを見てたら」
『な……っ、じょ、冗談…止め(( ひぃっ?!』
突然迫ってきた手に驚き咄嗟に目を瞑ると、背中に強い痛みが走り、それと共にダンッと大きな音が響き渡る。
衝撃で脱げたウィンプルから艶のある黒い髪が広がり出る。
背中の痛みに顔を歪めながら目を開けるとハラが、どこか楽しそうな表情でコチラを見て口を開く。
「分かってるとは思うけど、反撃しようなんて無駄な事は考えないでね。 僕もあんまり力使いたくないし、それに……」
『っ……!?』
近づいてきた顔に身を強ばらせていると、耳元で息遣いが聞こえハラは警告するかのように告げた。
「僕の力、自分じゃ解き方分からないから。 この意味、分かるよね……?」
一瞬でその意味を悟った私はハラに従わざるを得なくなってしまった。
『っう……は、ひ』