第5章 現れた天使
「誰か来たようですね。 代わりに出てくれませんか?」
『え、私が? ……まぁ、良いけど』
洗い物をしていたから、まぁ仕方なく代わりに出るため玄関へと行き扉を開ける。
『どちら様ですか?』
目の前に立っていたのは若い女性だった。
その女は片手に何か紙袋のような物を持ち、驚いた表情での姿を見る。
「っ?! あの、紅楼さんは?」
睨みつけるような目で言われて、不快に思えてきたは自分も同じような目で相手を見る。
『紅楼なら……』
と、答えかけた時、丁度後ろから本人が現れた。
「おや、こんな時間にどうされましたか?」
相変わらずの爽やかスマイル……。
「あ、紅楼さんっ! 実はちょっとしたお茶菓子を作ったので是非食べてもらいたくて持ってきたんです!」
『うわっ……と』
女が押し退けるように前に入ってきた為危うく後ろに転ぶかと思った。
まぁ、持ち堪えたが……何よ、この女は。
お茶菓子って、何かよく分かんないけどこんな時間に持ってくる物なの?
紅楼と話す女の姿を見て、その態度への不満と何か分からないモヤモヤした不満が出てきてしまって、は無意識のうちに牙と鋭い爪を露わにしていた。
「」