第5章 現れた天使
「ハラ……程々にしろと言っただろ」
「良いじゃないか、どうせすぐに傷は治るんだから。 それに僕の悪戯はお仕事も兼ねてるんだし」
そんな声が聴こえたかと思えば、先程の天使がの寝ている横に座るように姿を現した。
天使、ハラリエル。
通称ハラ。
彼は「警告の天使」の名を持つ者。
悪戯、それはハラにとっては悪戯程度のつもりでも、相手に警告しているという重要な意味があったようだ。
ハラは器用に翼を畳み紅楼に笑顔を向けると呆れた顔で口を開いた。
「お前の悪戯は度が過ぎてるんだよ」
「いやぁ、未だに加減が分かんないんだよねー。 特に悪魔ってなったら、胸が高なっちゃってさ」
「下を舐めずるな……気味が悪い」
「あっはっはー、ゴメンよ」
慌てて口元を拭い、てへっ☆とお茶目(?)なポーズをとってみたり……紅楼には全く効果が無いようだ。
逆に不審な目を向けられた。
「とにかく、俺は戻らなきゃならないからの傍に居るなら大人しくしていろよ?」
「はいはーい。 いってらー」
ひらひらと手を振りにこやかに紅楼を見送る。
「さて、何するかなぁ?」
って言ったっけ、この悪魔。
目を向ければ気持ち良さそうに丸まって寝ているではないか。
「警戒心無いなぁ……こんな近くに天使が居るのにさ」
わざと火傷している場所を突くと「んんっ」と唸り寝返りを打つ。
そう言えばコイツ淫魔だっけ?
あぁ、だから特殊なフェロモンが出てる訳か。
ハラは少し考えた後ニイっと口角を上げに手を伸ばす。
「ちょっと試してみるか……」
寝てる時に淫魔のイイ所を触ったら、どこまで催淫してくるかってな。