第4章 嫉妬は蜜の味
気づくと布団の中で眠っていた。
窓から見える空は薄らと明るくなってきている。
まだあまりハッキリしない意識の中寝返りを打つと、すぐ目の前に紅楼の顔があり一気に目が覚めた。
なっ、紅楼っ?!
声にさえ出しはしなかったが、驚きのあまり体を離すといきなり手が伸びてきて引き戻される。
「……逃げるな」
『ちょ、起きてたのっ?!』
「いや、今起きた」
眠たそうに欠伸をしている紅楼に抱き締められながら会話を続ける。
『昨日、というか……記憶が曖昧で、よく覚えてないんだけどさ……あの、ごめん……なさい』
「別に、謝る必要無いだろ。 全部初菜のせいにしておけ」
『そうだ! 初菜さん!! あれ全部嘘って本当っ?!』
突然出した大声に怪訝そうな顔でこちらを見ながら片耳を押える紅楼。
「朝っぱらから煩いな…っ。 まぁ、そうだな……アイツが悪戯したいって言い出して、面白そうなアイデアだったから乗ってみればこうなったってな」
『初菜さん……』
二人共この場には居ない初菜に向けてため息を吐きながら苦笑いをしたのだった。
「まぁ、初菜と俺は特に深い繋がりは無いし……気にすることはない」
『えっ……』
「昨日、不安そうに言ってたからな』
優しい笑顔で頭を撫でられると、嬉しさしか感じないではないか。
ズルいよ……
『もぅ……』
ちょっぴり照れくさくて紅楼の胸に顔を埋める。
尻尾が揺れていたのは、言うまでもない。