第4章 嫉妬は蜜の味
目覚めが悪い。
きっと夢のせいだ。
悲しい気持ちを抱きながら窓を見れば真暗。
今、何時なんだろう……。
流石に紅楼も帰っているだろうと思い廊下に出て歩く。
何処にいるか考えながら歩いていると話し声が聴こえてきて、咄嗟に足音を忍ばせその部屋を覗く。
『……っ!?』
そこには紅楼と初菜さんが居た。
何故初菜さんがここに?
その事しか頭に無く私は二人の会話に聞き耳を立てる。
「ねぇねぇ、あの子本当に紅楼が飼うの?」
「飼うっていう言い方はあまり好きじゃないが、そのつもりさ」
「何で紅楼が? 私じゃ、駄目なの?」
そう言ってチラッとこちらを向いた初菜さんと目が合う。
気づかれてる?!
初菜さんはクスッと微笑み紅楼に、キスした。
『な……っ?!』
信じられなくて、その一瞬で頭が真っ白になってしまい、私はその場から逃げた。
部屋に駆け込み思いっきり扉を締める。
胸が、痛い。
痛い……痛すぎて、おかしくなりそう。
『はぁ、はぁ……っう、ぃた。 はぁ……いたい…っ』
扉の前で座り込みじっとする。
すると、誰かが廊下を歩いてくる音がした。
コンコン
ノックの音が響き肩を震わす。
紅楼……?
返事をせずに居ると勝手に扉が開けられノックをした主が入って来た。
『っ!?……な、なんで』
入って来たのは紅楼じゃなく、初菜さんだった。
驚き私は後退りする。
「なんだ、居るなら返事してよ〜」
軽い感じの口調で扉を閉めながら私の方へ近づいてくる。
座っている私に目線を合わしながら初菜さんら微笑み言う。
「さっきの、見てたよね?」
『っ……』
やはりバレていたのだ。
目を合わせることが出来ず私は足元に視線を落とす。
初菜さんの尻尾が左右に揺れている。
楽しい感情?
「ねぇ、ちゃんはあれ見てどう思った?」
『えっ、どうって……』
正直に言う事も、嘘を言う事も出来ずに私は言葉を詰まらす。