第4章 嫉妬は蜜の味
夢を見た。
真暗な場所に立つ私。
目の前には光に包まれている紅楼。
近づこうとした時、違う誰かが紅楼に抱き着き私には目もくれずに素通りして行く。
『紅楼?』
そう呼んでも振り向きさえしてくれない。
『紅楼……ねぇ、紅楼!!』
どんどん私から離れて行く。
紅楼が、遠ざかって行く。
『何で無視するの!? 待ってよ紅楼っ!!』
追いかけようとした時、周りの闇が私に絡みついてきて動きを封じられる。
解いても解いても絡みついてきて……その間にも二人は遠くなっていく。
『待って、よ……やだ、嫌だ……紅楼っ』
私を……見てよ……。
私の叫びも、願いも届かず、二人は光の中に消えてしまった。
ツーっと頬を流れる涙。
次から次へと流れてきて止まらない。
悲しい……という感情を初めて感じた。
嫌いだって、嫌いなはずなんだ!!
……なのに、何で私は涙を流すの。
これは夢なんだ、だから大丈夫。
分かっていても涙は止まることを知らない。
もし現実になったら、私はどうするだろう。
紅楼は、私から離れて行くのだろうか。
疑問が頭の中で渦巻いて、寂しくて、悲しくて……私は実感した。
あぁ……私は、孤独だと。