第4章 嫉妬は蜜の味
『……どこ行ってたのよ』
「それはこちらの台詞です。 いつの間にか居なくなってるんで捜しましたよ」
『……だって、』
二人で楽しそうにしてるんだもん。
そう言いかけて口を閉じた。
二人は知り合いなんだろうし仕方ない事だと思うから。
自分は来たばかりで日が浅いし、何せ捕らわれてる身だし、好きでいるわけでもないのだから。
『ごめん……』
「クスッ……首輪苦しくありませんでしたか?」
そう聞きながら私の首や顔を確認する紅楼。
『大丈夫。 何か楽だった。 スーッて、意識が遠のく感じで……』
「気分が悪いとかは?」
『…………無いよ』
「なら安心です」
ニコッと微笑みクシャッと頭を撫でられた。
一瞬少し嬉しく思ってしまったが、すぐに私はその手を退け紅楼を睨む。
『そんなの、いらない……』
いらなくない。
『……先帰るから』
帰りたくない。
心とは裏腹に私はその場を後にする。
顔も見たくない。 嘘、本当はそばに居たいんだ。
違う、私は神父なんか嫌い。 紅楼が好きだって気づいてるのに。
違う!!
私は、紅楼なんか大嫌いだ。 そう、言い聞かせる。
自分だけだと思っていたのに。
紅楼には他の悪魔、よりにもよって淫魔が居た。
しかも、あんなに……
『楽しそうにしてるんだもん……』
そう呟いた時には教会に着いていた。
途中から走ったからか息が苦しくて、私はすぐに自分の部屋に戻りベッドに倒れ込む。
『ぁ、さっきと同じ、感覚……』
少し怖いくらいスーッと意識が遠くなっていく。
胸の苦しさを感じながら私はその感覚に身を委ねる。
『返事、聞かずに来たけど……もぅ、いっ……か』
目を閉じるとすぐに頭が真っ白に染まった。