第4章 嫉妬は蜜の味
じっと見ていると初菜さん、と目が合い少し戸惑った。
『ぁ、はじめまして……初菜、さん』
私が挨拶をするとキョトンとした顔の後クスリと笑い向こうも挨拶をしてくれた。
「初めまして。 ちゃん、だっけ? よろしくね」
紅楼の隣で微笑む初菜さん。
なんだろ、胸がザワザワして変な気分。
「ね、紅楼これから買い物なんでしょ? 付いて行っていい?」
そう言って紅楼の腕にしがみつく初菜さん。
一瞬私の方を見て笑った。
どんな意味があったのか……分かりはしないけど、気分が優れない。
この悪魔は、苦手だ。
それからずっと買い物をしている間、極力二人に近づかないように歩いていた。
胸がずっと苦しい……こんな気持ち、初めて。
久しぶりに外に出れたのに、全然楽しくなくて早く帰りたいとさえ思い出していた。
『はぁ……って、あれ?』
キョロキョロ…
二人の姿が見えないではないか。
『これって……はぐれた?』
さっきよりも人が増えたのもあってか余計分からない。
どうしようか悩んでいると首輪に異変が起き出した。
『ぇ、なに…っ? 』
段々思考が働かなくなっていくのに気づき道の端に寄る。
クラっと倒れそうになり建物の壁に身体を預けながら必死に考える。
首輪が締まっていくような感じがする。
でも苦しくは無くて、楽な感じと言うのか……圧迫感がほとんど感じないのだ。
スーッと意識を奪われていくような、そんな感じ。
「っ!!」
『っ!?』
突然頭に響いたその声にハッとして顔を上げれば目の前に紅楼と初菜さんが居た。
気づけば意識もハッキリしていてさっきまでのが嘘のように思えてきた。
首輪に何か細工でもしていたのだろうか?
首を傾げながらも紅楼に疑問を投げる私。